DHMEQが動物実験でいろいろな難病の抑制に使われるようになって5年以上になります。
その間に多くの臨床研究室の研究のおかげで、ガンや白血病(それも特に治りにくいもの)、リウマチ、臓器移植の拒絶反応、など多くの疾患モデルで、毒性を示さず、大変切れの良い抑制効果があることがわかりました。これほど効果があることは予想外でした。
ガンや白血病は死に至る場合が多く、しかも案外頻度が高く最も恐れられている病気でしょう。
ガンの発生は、[ガンをつくるガン遺伝子ができる変異]と、[ガンを抑制するガン抑制遺伝子の変異などによる欠損]の両方の積み重ねによって発生します。
ガンが発生する域に積み重ねが達するには年月がかかるので、一般には高齢者になってかかる病気です。それでも治す手だてが限られているので恐怖を与えているのです。
ガンや白血病にも、比較的治療がしやすく予後が良いものと、どうにも難治性のものとあります。
乳ガンや前立腺ガン
ホルモン療法が有効な場合…予後がよい。
ホルモン療法が無効な場合…多くは難治性。
白血病
慢性骨髄性白血病や前骨髄球性白血病は、それぞれ特効薬があるため。
比較的治りやすい方だと思います。
もちろんそうでない両白血病もあるのですが。
慢性骨髄性白血病 | 特効薬「グリベック」 |
前骨髄球性白血病 | 特効薬「ATRA」 |
しかし、多発性骨髄腫、成人T細胞白血病、エイズ関連リンホーマなどの白血病は根本的な治療法がなく、とても治りにくい部類に入ります。
DHMEQは、今まで主に治りにくいガンや白血病の動物実験に用いられ、優れた抑制効果を示しました。
動物実験で抑制効果
・ホルモン非感受性乳ガン
・ホルモン非感受性前立腺ガン
・甲状腺ガン
・すい臓ガン
・多発性骨髄腫
・成人T細胞白血病
・ホジキンリンホ-マ
・エイズ関連リンホーマ など
リウマチは関節に炎症が起きる病気で、進展すると骨が破壊され大変つらい病気となります。
炎症とは、局所で血管が太くなることと、組織が破壊されることで、「炎症性サイトカイン」という一連のタンパク質によってひき起こされます。
本来、炎症性サイトカインは免疫系の細胞(リンパ球、白血球、マクロファージなど)を活性化して体を守る役割を担っています。しかし多すぎると、これらの免疫系細胞が炎症をおこして、組織に異常を与えたり壊してしまうのです。
炎症性サイトカインが原因の病気を「炎症疾患」とよぶこともあります。リウマチは、代表的な炎症疾患です。
リウマチの根本的な治療法はなく、現在、行われるのは痛み止めなど主に対処療法です。NF-κBの阻害は根本的な治療になると考えられ、DHMEQはリウマチの動物実験で発症後に与えても治療効果を示しました。
重い心臓、肝臓、腎臓の疾患では、臓器移植が唯一救う方法となっているのはご存知のとおりです。
病気ではありませんが、臓器移植の時、必然的に激しい炎症が体内で起きて拒絶反応となってあらわれます。
現在、その拒絶反応を抑えるために既存の免疫抑制剤が使われていますがとても十分ではありません。
北海道大学外科の先生方は、心臓移植の動物実験でDHMEQは単独で移植改善効果を示すこと、また既存の免疫抑制剤と組み合わせると移植された心臓が驚異的に長期間生存することを見い出し、論文で発表されました。
このようにDHMEQは臓器移植を改善する薬剤としても使えそうです。